GYMメディカルクリニック

子宮頸がんについて正しく知ろう

子宮の病気や症状

子宮頸がんってどういうもの?

子宮頸がんってどうしてなるの?

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発症する病気であることが分かっています。性交渉の経験を持った全ての女性はHPVに感染するリスクを持ちますし、このウイルス自体は、殆どの女性は一生に1回は感染すると言われている、ごくありふれたものです。
また、ウイルスに感染したからと言って必ず癌になるわけでもなく、殆どの人は一過性の感染で、自然にウイルスの活動性はなくなります。長く持続感染した人が子宮頸がんを発症します。

HPVには100種類以上の型がある

HPVには100種類以上の型があることが分かっていて、そのうちの13種類のハイリスクHPVが特に子宮頸がんの発症リスクを高めると言われています。その中でも16、18型が子宮頸がんの約6割を占めると言われており、このハイリスクHPVに感染することにより、子宮頸がんを発症するリスクも高まります。

子宮頸がんの初期症状はほとんどない

子宮頸がんは進行して浸潤がんになると不正出血等の自覚症状が出ますが、初期では症状が出にくく、気づかずに進行してしまう場合が多いです。そのため、日頃から定期的に子宮頸がん検診を受ける習慣を持つことがとても大切なのです。

ワクチンと定期検診の両方が必要

子宮頸がんの多くは、扁平上皮癌と言われるものですが、それ以外に腺癌と言われる癌があり、これは検診で見つかりにくいのです。しかし、この腺癌もHPVワクチンを打つことで予防ができます。そのため、HPVワクチンの接種をした上で、性交渉経験を1度でも持った後は、定期的な子宮頸がん検診を欠かさないということが最も理想的です。

子宮頸がんの検査・診断・治療方法

子宮頸がんの検査・診断って?

定期検診としての子宮頸がん検診では、まず、子宮頸部(子宮の入り口)を、先にブラシのついた専用の器具で擦って細胞を採り、異常な細胞を顕微鏡で調べる検査を行います。
この細胞診で異常がでた場合には、必要に応じてコルポスコピー検査という、拡大鏡を使った組織診の精密検査が必要になります。
コルポスコピー検査を行っている医療機関は限られておりますが、、当院ではコルポスコピーでの精密検査に対応しています。
この検査結果で治療方針や検査の間隔を決めていきます。

異形成(軽度、中等度)までは原則、経過観察、高度からは治療が必要

子宮頸がんの前がん状態は異形成と呼ばれる病変です。この異形成は軽度、中等度、高度に分かれます。軽度、中等度までの異形成の場合は原則、自然に経過観察、定期的な検診でフォローアップとなりますが、高度異形成になった場合は基本的には治療が必要です。
ただし中等度異形成でも長期間病変がかわらないとか、ハイリスクHPVに感染しているとか、本人の希望が強い場合など、状況の応じて治療をする事があります。高度異形成は上皮内癌と区別がつきにくいため、同様に扱われるため、手術による治療が必要となります。
高度異形成までであれば、子宮腟部を円錐状に切り取る円錐切除術、もしくは子宮腟部をレーザーや電気メスの機械で焼いて変性させる蒸散術という治療法の選択ができます。年齢や病変、妊娠の希望があるかなどによって、最適な治療を選択します。

円錐切除術と蒸散術のメリット・デメリット

円錐切除術のメリットは、病変部分を切り取ることが可能なため、確実性が高いことです。ただし多くは入院が必要ですし、子宮頸部が短くなることで、流産・早産リスクもやや増えるというリスクがあります。

一方で蒸散術は切除をしないので流産・早産リスクが上がらないというメリットがあります。当院では外来で日帰りで対応しています。蒸散術を選択した人の約80%の人は、この蒸散術で治癒します。

その反面、約20%の人は悪い部分が取り切れずに再発するというリスクもあります。ただ、やはり蒸散術の方が妊娠出産に影響しにくい治療法ですので、今後の妊娠希望がある方で適応のある方にはは蒸散術による治療をお勧めすることもあります。(病変部分の大きさによっては妊娠希望があっても適応にならない場合もあります)

HPVワクチンによる予防と検診による早期発見を

高度異形成からさらに進行すると浸潤がんという状態になり、子宮全摘が必要となる可能性があります。しかし、子宮頸がんは早期発見、早期治療が可能であり、他のがんよりも、検診で見つけやすいのです。

また、17歳までに4価HPVワクチンの3回接種することで、。子宮頸癌の約88%を予防、することが分かっています。また現在一番新しい9価HPVワクチンは90%以上とされています。
そのようなことからも、定期接種のうちに(高校一年相当までは定期接種対象、1997年~2005年度生まれの方はキャッチアップ接種対象)HPVワクチンを接種し、性交渉経験を持ったら必ず定期検診を受ける、という意識を全ての女性が持つことがとても大切です。