HPV(ヒトパピローマウイルス)は主に皮膚や粘膜の接触によって感染し、性行為を介して広がることが多いですが、それ以外の経路もあります。以下に詳しく解説します。
主な感染経路
性行為(性交・口腔性交・肛門性交)による感染
- HPVの感染は性行為(セックス・オーラルセックス・アナルセックス)による接触が主な原因
- 一度の性行為でも感染する可能性がある
- コンドームで感染リスクを低減できるが、100%防ぐことはできない(皮膚が直接触れる部分から感染するため)
- 性交渉の経験がない人でも感染する可能性がある(手や口を介した接触でも感染する場合がある)
皮膚や粘膜の直接接触による感染
- 性器と性器の接触(挿入を伴わない行為でも感染する可能性あり)
- 手や指を介した感染(性器に触れた手で他の部位を触れることで感染する可能性)
- キスやオーラルセックス(口腔性交)での感染(喉にHPVが感染し、中咽頭がんの原因となることもある)
母子感染(垂直感染)
- 出産時に母親がHPVに感染している場合、新生児に感染することがある
- 感染した赤ちゃんは、喉頭乳頭腫(のどにできるイボ)を発症することがある(HPV6型・11型が原因)
間接的な接触感染の可能性(まれ)
- ウイルスが付着したタオルや下着、器具などを介した感染は可能性があるが、確率は低い
- 公共のトイレやプールでの感染の可能性は極めて低い(HPVは環境中では長時間生存できないため)
HPV感染の特徴
- 感染しても多くの場合は無症状のまま自然消失する(約90%は2年以内に体の免疫で排除される)
- 一度感染しても、同じ型のHPVに再感染する可能性は低い(免疫がつくため)
- 異なる型のHPVには何度でも感染する可能性がある(HPVには100種類以上の型が存在)
- 長期間持続感染すると異形成やがんのリスクが高まる(特に高リスク型HPVの場合)
HPV感染を防ぐ方法
HPVワクチンの接種(予防の最も効果的な方法)
- 9価ワクチン(シルガード9):高リスク型(16,18,31,33,45,52,58型)+ 低リスク型(6,11型)に対応
- 4価ワクチン(ガーダシル):高リスク型(16,18型)+ 低リスク型(6,11型)に対応
- 2価ワクチン(サーバリックス):高リスク型(16,18型)のみに対応
定期的な子宮頸がん検診
20歳以上の女性は定期的に子宮頸がん検診を受けることが推奨(異形成の早期発見が可能)
コンドームの使用
- コンドームは感染リスクを低減するが、完全に防ぐことはできない
- 感染リスクはゼロにはならないが、使用することでリスクを大幅に下げることが可能
性的パートナーの管理
- 不特定多数のパートナーとの性交渉を避けることで感染リスクを減らせる
- 相手がHPVワクチンを接種している場合、感染リスクが低下する
HPVは主に性行為を介して多くの人が一度は感染するウイルスですが、ワクチンや定期検診で予防・早期発見が可能です。
