更年期障害になりやすい女性には、以下のような特徴があります。
生活習慣や体質による要因
- 過度なストレスを抱えている(仕事や家庭のプレッシャーが大きい)
- 睡眠不足が続いている(自律神経のバランスが崩れやすい)
- 運動不足(血行が悪くなり、ホルモンバランスが乱れやすい)
- 喫煙習慣がある(女性ホルモンの分泌が低下しやすい)
- 過度な飲酒(ホルモン代謝や自律神経に悪影響)
ホルモンバランスの影響
- 早く閉経する傾向がある(家族に早期閉経の人がいる場合)
- 月経不順が多い(生理周期が乱れがちでホルモンバランスが不安定)
- 婦人科系の病気を持っている(子宮や卵巣の病気の影響)
- 過去に卵巣や子宮を手術したことがある(ホルモンの分泌が減少する)
性格や精神的な要因
- 完璧主義で責任感が強い(ストレスを溜め込みやすい)
- 神経質で不安になりやすい(自律神経が乱れやすい)
- 気分の浮き沈みが激しい(ストレス耐性が低い)
遺伝的な要因
- 母親や姉妹が更年期障害が重かった(遺伝的に影響を受ける可能性がある)
栄養不足・食生活の影響
- カルシウム・ビタミンD不足(骨粗しょう症のリスクも高まりやすい)
- 大豆製品をあまり摂らない(大豆イソフラボンが女性ホルモンを補う役割を持つ)
- 極端なダイエットをしている(栄養バランスが崩れホルモンが乱れる)
仕事や家庭環境の影響
- ワークライフバランスが取れていない(仕事の負担が大きい)
- 子育てや介護の負担がある(肉体的・精神的ストレスが大きい)
- 人間関係のストレスが多い(職場や家庭での対人関係が悪い)
予防・対策
更年期障害は、生活習慣の改善やホルモンバランスのケアで軽減できます。
- バランスの良い食事(大豆食品、カルシウム、ビタミンDを意識)
- 適度な運動(ウォーキングやヨガで血流改善)
- 質の良い睡眠をとる
- ストレスを溜めない(リラックスできる時間を作る)
- 必要なら婦人科でホルモン補充療法(HRT)を検討
更年期障害の診断(ホルモン検査)
更年期障害の診断には、ホルモン検査(血液検査)が用いられます。主に以下のホルモンの値を測定し、更年期の状態を評価します。
主なホルモン検査の項目
01卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 卵巣を刺激し、エストロゲン分泌を促すホルモン
- 更年期では上昇(40mIU/mL以上で閉経の可能性が高い)
(参考値(閉経前):10~30 mIU/mL)
(参考値(閉経後):40 mIU/mL以上)
02エストロゲン(E2, エストラジオール)
- 女性ホルモンの一種で、更年期に減少
- 更年期では低下(25 pg/mL以下が閉経の目安)
(参考値(閉経前):50~300 pg/mL)
(参考値(閉経後):10~25 pg/mL以下)
03黄体形成ホルモン(LH)
- 排卵を促すホルモンで、更年期には上昇
- 更年期では上昇(15~40 mIU/mL以上)
(参考値(閉経前):5~20 mIU/mL)
(参考値(閉経後):20~100 mIU/mL)
その他の関連検査
- 甲状腺ホルモン(TSH, FT3, FT4)
-甲状腺機能低下症(更年期障害と似た症状を引き起こす)の除外
- プロラクチン(PRL)
-高プロラクチン血症による月経異常の鑑別
- DHEA-S(デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩)
-副腎機能を確認し、ホルモンバランスの乱れを評価
診断の流れ
01問診・自覚症状の確認(ほてり、不眠、イライラ、動悸、月経不順など)
02血液検査(ホルモン値測定)
03必要に応じて甲状腺機能検査や他の血液検査
04結果に基づき、更年期障害の診断と治療方針の決定(HRT、漢方、生活改善など)
ホルモン検査を受けるタイミング
- 月経がある場合:月経周期の3~5日目が最適
- 月経不順・閉経後:いつでも検査可能
ホルモン補充療法(HRT)
欠乏したエストロゲンを飲み薬や貼り薬・塗り薬として体内に補充する治療法です。
体内のエストロゲン量を維持することによって、更年期における様々な症状を軽減します。
HRTで期待される効果
更年期症状の緩和
HRTにより、不足したエストロゲンを補うことで、更年期特有の症状が改善されます。
- ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)や発汗の軽減
- 動悸やめまいの改善
- 気分の落ち込みや不安感の軽減(うつ症状の予防)
- 不眠の改善(睡眠の質向上)
- イライラや集中力低下の改善
骨粗しょう症の予防
閉経後はエストロゲンの減少により骨密度が低下し、骨折リスクが高まります。
HRTは骨密度を維持し、骨折のリスクを低減します。
腟や尿路の健康維持
- 腟の乾燥や萎縮(萎縮性膣炎)の改善
- 性交痛の軽減
- 尿もれ(尿失禁)や頻尿の改善
肌や髪の老化予防
- 肌のハリ・弾力の維持(コラーゲンの減少を抑える)
- 乾燥肌の改善
- 抜け毛の減少
HRTの効果が出るまでの期間
- 即効性がある症状:ホットフラッシュや発汗などは数日~数週間で改善
- ゆっくり改善する症状:骨密度の増加や肌の変化には数か月~数年かかる
HRTに用いる薬と投与方法
HRTは原則として、エストロゲンと黄体ホルモンの2種の薬を組み合わせて行います。
エストロゲンには経口薬(飲み薬)や経皮薬(貼り薬・塗り薬)があります。
HRTは年齢や症状、月経の有無、子宮の有無、閉経後の年数など、状況に応じて投与方法が変わります。
エストロゲン単独療法
子宮を摘出した女性に使用されるエストロゲン単独の内服薬です。
エストロゲン+黄体ホルモン併用療法
子宮がある女性は、エストロゲン単独では子宮内膜増殖症のリスクがあり、悪性化して子宮体がんになる可能性もあるため、予防する目的で黄体ホルモンと併用します。
投与スケジュール
エストロゲン単独療法
毎日継続的に投与。
エストロゲン+黄体ホルモン併用療法
- サイクル療法(周期的投与):エストロゲンを毎日、黄体ホルモンを月のうち一定期間だけ服用(生理が再開する可能性あり)
- 連続併用療法(持続投与):エストロゲンと黄体ホルモンを毎日服用(生理がこない)
アスタキサンチンの更年期障害への期待される効果
アスタキサンチンは更年期障害に対する直接的な治療効果は認められていませんが、いくつかの側面で更年期症状の軽減に寄与する可能性があります。
抗酸化作用による老化防止
更年期に伴う酸化ストレスの増加を抑え、細胞の老化を防ぐ可能性がある。
血流改善
血行促進作用があり、冷え性や肩こりの改善が期待できる。
肌のハリや潤いの維持
コラーゲンの酸化を抑え、肌の乾燥やシワを軽減する可能性がある。
抗炎症作用による疲労回復
疲れやすさや関節痛など、更年期によくみられる症状の軽減に役立つ可能性がある。
ストレス軽減や睡眠の質向上
抗ストレス作用があり、不眠や気分の落ち込みの軽減が期待できる。
アスタキサンチンは、更年期障害の直接的な治療薬ではありませんが、抗酸化・血流改善・抗炎症作用などにより、更年期の不調を和らげる可能性があります
当グループでは、アスタキサンチンを配合したサプリメントも販売しておりますので、医師とご相談の上ぜひ一度お試しください。
更年期症状がつらい場合は、早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。