オンラインピル専門のクリニックが増加中
最近、オンライン診療の普及と共に、低用量ピルやアフターピルの処方をオンライン上の簡単な手続きだけで完結できるサービスが目立つようになりました。ネット広告も多く見かけるので、検索で一番に目に入るのはこういったクリニックであることが多いかもしれません。
直接医療機関を受診することなく、待ち時間もなくピルを入手できるのは忙しい現代女性にとっては確かに便利です。特にアフターピルの場合は背景にセンシティブな問題を含んでいるだけに、誰とも顔を合わせることなく、事情を話すこともなく、ただ機械的にオンライン処方を受けられるならその方が良いと感じる方も多いかもしれません。
お薬の処方、便利で気楽なだけで本当に良いですか？
ただ、お薬の処方については「その時、便利で気楽なだけで本当に良いのか」ということを少し考えてみて頂きたいのです。
一見お手軽でも、オンライン処方を受けた後、いざ服用してから何か不安なことがあったり、体の不調が生じたりした場合は、どうしますか？
お薬である以上、入手したら全て解決、ではなく、いざ服用してみてから、人により様々な問題が生じてくる可能性があります。
もし後からこんなことがあったら、どうしますか？
「不正出血が続くけれど大丈夫かな。」
「ピル服用中に併用したい薬剤のことで心配がある。」
「ピルの飲み忘れで効果が下がっているかもしれない状態で性交渉機会を持ってしまったけど大丈夫かな。」「アフターピルを飲んだけれど、出血が起きなくて不安。」
オンライン専門クリニックでは、何かあったときのフォローがない！
このような自己判断が難しい心配事が出てきた時、オンライン処方だけのクリニックでは、そもそも診察ができないので適切なアドバイスをすることも難しいと考えたほうがいいでしょう。
背景にあるのは、専門医不在のクリニック！？
その背景には、最近目立つオンライン処方のクリニックの多くには産婦人科専門医がおらず、適切な診察や、病気の発見自体が出来ないという現実があります。その為、アフターケアが皆無だったり、検査もせずにピル禁忌の方（ピルを処方してはいけない血栓リスクのある方など）にまで処方されることがあります。
このように営利目的だけで、専門性がなく、どのようなピルが合っているかなど、丁寧な問診をせずに、決まった処方だけをする医療機関が増えていること、また、それがあまり知られていないことは大きな問題です。
必要のない人にまで、機械的に処方している
特にアフターピルに関しては、必要かどうか診察すれば分かるにも関わらず、実際には必要のない人にまで機械的にオンライン処方されている例が最近、とても目立ちます。既に低用量ピルを服用している人にまで、患者本人が不安であればさらにアフターピルを処方してしまうケースも多いようです。
仮に避妊に失敗していたとしても全例でアフターピルの適応になるわけではありません。その時、妊娠の危険がある状態かどうかは丁寧な問診や、必要に応じて診察をすれば分かりますので、不安がある時は、まずは産婦人科専門医のいる医療機関を受診して頂くことが理想的です。
それは、まさに罠
このようにオンラインピル専門のクリニックでは何かあっても解決できない事も多い為、相談すると婦人科受診を促されることが多く、そこから受診するクリニックを一から探すとなるとかなりのストレスだろうと思います。
受診不要でピルの処方を受けられることは一見便利なようですが、何か起きた時に状況は一変します。不安を抱えた患者様が放り出された形になってしまうというのは、心苦しく感じます。
安心とは何かをよく考えてみましょう
そういった理由から、低用量ピル・アフターピルはきちんとその分野に精通し、何かあればすぐに診察のできる医療機関で処方を受けるようにする事を強くお勧めしています。パッと見の便利さ、楽さだけに流されてしまうことなく、トータルで考えた時に何が一番安心なのかという視点をぜひ持って頂きたいと思います。
また、アフターピルの避妊率は１００％ではありませんので、アフターピルの服用を経験した患者様には、ただその場で処方して終わりではなく、今後の確実な避妊方法として低用量ピルの継続服用やミレーナ®の装着をご提案させて頂くことまでを責任として当院では考えています。今後のことを考えた提案がない医療機関が多いことは大変残念です。
当院の安心・安全なオンライン処方
ちなみに当院でもオンライン処方は取り扱っていますが、必ず婦人科専門スタッフとの問診を経ての処方としています。その上で、服用後にご心配なことがあれば個別のお問合せにも対応しておりますし、必要に応じて受診してご相談頂ければ、そのご不安は責任を持って解消させて頂きますのでご安心ください。
ピルの処方では日本トップクラスの実績を持ち、医師・スタッフともに確かな知識を持って対応しております。
受診・問診が気まずい、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、処方を受けるにあたり、何か怒られるとか、必要以上の詮索を受けることはありません。ピルの処方はぜひ、何かあったときに安心して相談できる「かかりつけの婦人科」で受けるようにしましょう。